対位法とは

対位法は2つ以上のメロディをきれいに重ねる技術です。

コード理論だけでも曲を作れる

一般的にコード理論を知っていたら対位法は勉強をしなくてもいいと言われています。確かに一つのメロディラインとコードをつけるだけでも曲として成り立ちます。例えばEDMやメタルなどは大半の曲がメインメロディとバッキングがコードだけでできています。アコースティックギターの弾き語りはメロディとコードだけです。

メインメロディ以外のメロディを入れる場合でも基本的にはメロディのハモリとして入れるか、コードトーンを使うだけだったり、一瞬だけ非和声音を入れるだけだったら対位法の知識はいりません。

対位法の勉強には時間がかかると言われています。一方で和声法は早く勉強が完了するので広まったと言われています。

コード理論のみで作られた音楽の限界

一方でコード理論だけで作られた音楽というものの限界とを感じてしまうことがあります。

結局音楽がメインメロディとコードという要素のみに左右されて行ってしまうことにとても残念に思っています。コード進行というのは他の曲に似てしまいます。コード進行が同じ曲というのは大量にあります。たまにモーダルインターチェンジなどを使うとしてもよく使われるパターンというものもありますし、逆にあまり使われない理論というものは聴き慣れていない方には違和感が出てきます。

作曲というものが結局どんなコード進行を使うかという考えになりがちになっているように感じるのです。どのコード進行を使うかということが始まりになってしまうと結局メロディにも制約が課されているような感覚になりますし、よく使われるコード進行から曲を考えるというのは個性を出しにくくなってしまうと思います。

メロディは出尽くしているのか

よく言われている俗説に「メロディはもう出尽くしている」と言うものがあります。根拠がなく言われているので私は信じていないのですが、メロディも限界が出てくるという考えは少し理解が出来るような気がします。特にコードを先に決めてしまった場合メロディの動きも大体おなじになってしまうような感覚があります。

メロディに限界はまだ来ていないと思いますが、メロディの発想が似たようなものになってしまって結果同じようなメロディが出ているのではないかというのが私の個人的な考えです。

対位法はまだまだ個性が出せる

そこで私は対位法というものに希望を見出しています。確かにバロック音楽やフーガ、カノンや聖歌などのポリフォニック音楽の時代にかなり発展してかなり出尽くしているとはいえ、ポピュラーミュージックにはあまり使われていません。

メロディを2つまたはそれ以上重ねたものならまだまだ幅が広がるし個性もかなり出せると思います。メインメロディとサブメロディの掛け合いはまだまだ全然出尽くしていません。

メロディにハモリを加えるのは結局メロディが1つあるのと似たようなものです。「メロディ」と「3度音程のメロディ」が同じように動いているだけなので対位法的ではありません。

対位法では3回以上同じ度数の音を使うことは基本的には禁則になっています。つまり「ドレミファソ」というメロディに「ミファソラシ」というハモリをつけることはよくありますが、ミの音のところでソの音をつけるのは3度音程の音が3回目なので避けなければいけないのです。

対位法を勉強するメリット

対位法を勉強することは意味があります。

まず対旋律をきれいに書くことができます。アマチュアの方の曲はもちろん、たまにプロのアーティストの曲でもありますが、対旋律が音が思いっきりかぶっていてハーモニー的にとても汚い音になっていることがあります。それぞれのメロディを単体で聴くと良いメロディですが、合わせた時に汚くなってしまっているのはとても残念です。対位法を学ぶとメインメロディとかぶらないサブメロディが作れて、その上にサブメロディ単体で聴いてもきれいなメロディにすることが出来るようになります

他にもストリングス・アレンジ、ブラスアレンジ、コーラスパートなどのの内声をきれいにすることができます。

ただコードを鳴らすだけのアレンジはどの楽器でもできます。そのようなアレンジは結局音色の好みだけの問題になってしまいます。ストリングスにはストリングスの、ギターにはギターの楽器の特性というものがあります。楽器の特性を生かしたアレンジをしなければその楽器を選んだ価値があまりなくなってしまいます。

対位法を勉強し、メロディを鳴らすと楽器の特性を生かしたアレンジをすることができます。メロディを中心にしたアレンジにすると個性が出しやすいということになります。

対位法的に分析するときも役に立つ

対位法の知識が必要な曲もあります。フーガやカノンは対位法を元に作られています。フーガやカノンの曲を分析する時に対位法の知識は役に立ちます。

またバロック風の曲を作りたかったり、グレゴリオ聖歌の要素を取り入れてみたりすることもあると思います。それらの音楽は対位法を元に作られているので、そういう要素を取り入れたい時に対位法の知識が役に立ちます。

習作を作るなどの訓練をおすすめ

普段メロディやコード進行を考えるトレーニングというものはしようと思ってなくてもなんとなくしていると思います。例えばピアノやキーボードに向かってコードとメロディを研究したり、ギターでコードをいくつもつなげてみたり、他人の曲をコピーするときもメロディやコード進行を分析して演奏することはよくあると思います。

ですが対旋律を考えるという訓練をすることは殆どないと思います。少なくともメロディやコード進行を考えているほどはしていないと思います。曲を作る時にメロディやコード進行がパッと思いつくのはそうやって訓練しているからです。

ですが対旋律を考えることはあまりしないのでいざという時に上手く作れなくて何度も考え直したり、ハーモニー的に違和感が出ないように組んだとしても対旋律がメロディとして良いものにならなかったりしてしまうと思います。

なので良い対旋律を作るためには何度も作って練習しなければなりません。DAWで打ち込んだり、ピアノで弾いてみたり、ギターでメロディを弾いたものを録音してそれに合わせて対旋律を考えながら弾くなど様々な方法があります。

訓練にはバッハなどのバロック音楽やフーガを聴いて研究するのもおすすめです。

対位法を難しく考える必要はない

対位法は難しいと言われています。音楽学校でも勉強せずに卒業ができるところもありますし、習得に時間がかかると言われています。

確かにそうですが、ポピュラーミュージックを作るならば対位法をそこまで深く勉強する必要はあまりありません

「ポピュラーミュージックではメロディは同時に2本までにとどめておいたほうがいい」と言われることがよくあります。ポピュラーミュージックを聴く層の大半は音楽を深く聴くわけではなくメロディを同時に3本も4本も聴き分けることができないからです。3本以上のメロディを聴き分けるにはある程度の訓練が必要ですし、複雑な音楽だとして避けられてはポピュラーミュージックではないからです。

なのでメロディを作るのは2つまででいいのです。「リードボーカル+ストリングス」という組み合わせは特によくあります。

対旋律を上手く作れるようになるにはどちらかというと実際に作ってみたり演奏したりする訓練のほうが重要です。

対旋律をきれいに作れるようになると作曲初心者でもできるメロディしか書けない作曲法から脱して、アレンジでもきれいな音を出せる作曲家へとレベルアップすることができるでしょう。ここが作曲初心者と作曲上級者との違いの一つだと私は思っています。

対位法の勉強におすすめの本

『コード&メロディで理解する 実践!やさしく学べるポピュラー対位法』

この本はとても簡単に対位法について解説している本です。簡単な譜面と優しい解説で、音楽の勉強が苦手な人でもわかりやすく対旋律の作り方などを解説しています。

対位法を学ぶ本は簡単に学べるものはほぼなく、ほぼ音大の教科書に使われているような難しい本しかありませんでした。ですがこれはとても簡単にポピュラー・ミュージック向けに対位法について解説している本です。

本では対旋律の作り方などの解説をした後に第5章の「対位法をストリングスアレンジに活かそう」で実際にストリングスアレンジで応用する方法を解説しています。

ストリングスは対位法的手法でアレンジすることが多く、対位法の知識がとても役に立つということがわかります。

この本で勉強して対旋律を作る練習をすると作曲家としてレベルアップするでしょう。


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『モードからフーガまで 実践!しっかり学べる対位法』

「やさしく学べるポピュラー対位法」と同じ著者が書いたわかりやすい対位法の本です。
こちらではもう少しレベルアップしてフーガなども解説しています

『やさしく学べるポピュラー対位法』は対位法的な知識は薄い本でした。その代わりストリングスアレンジの解説など実践的な内容を書いていて対位法の意義というのは伝わったと思います。

一方でこちらの本はニ声対位法の「1音符:2音符」、「1音符:3音符」などの音の付け方やカノン、三声・四声対位法、フーガの技法なども解説していて対位法らしい理論を学べます。

『やさしく学べるポピュラー対位法』とこちらの『実践!しっかり学べる対位法』の両方を読んで他の作曲家の方に負けない曲作りをできるようになれるといいと思います。


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